職場新聞の記事より

合理化が大きな原因

合理化が大きな原因

2017年11月30日

 神戸製鋼所のデーター改ざん問題について、「しんぶん赤旗」に鉄鋼産業研究者の大場陽治さんが寄稿していますのでその要旨を紹介します。
 「鉄鋼産業一般に、高度成長期を過ぎた80年代から大変な人減らし合理化がすすめられ、例えば高炉工場では400人の定員が現在は10分の1以下となり、主力の薄板工場などは、広い構内を見渡しても人影を見ないいわゆる無人化工場となっており、極限まで要員が減らされ、社員の安全がおぼつかない状況です。
 特に、80年代早期に合理化が狙われた職場が製鉄所現場の「検査・試験」部門でした。
 今回の問題は、起こるべくして起きた不祥事であり、神鋼だけとは限らない問題です。製品の出荷は、JIS規格よりも厳しい「社内規格」に沿って行われますが、需要家によっては、寸法精度や強度など、さらに厳しい規格を求めることがあります。
 一方、鉄鋼メーカー側には特殊鋼エキストラ(+α)価格体系があり、そのせめぎ合いとなります。 ただ、このエキストラ体系が事実上崩壊しており、需要家の無理が通っているのが実情で、コストに見合う価格となっていないという鉄鋼メーカー側の言い分もあります。
 今回の問題は、こうした産業構造矛盾の一部が外部噴出した事件といえます。」