昨年の臨時国会では、国民の「9条守れ」の声と野党の結束した力で、憲法審査会での自民党改憲案の提示を断念させました。しかし、安倍首相は2月10日の自民党大会で「憲法にしっかりと『自衛隊』と明記して、違憲論争に終止符を打とう」と改憲への執念をむき出しにしています。9条改憲の狙いと危険性、阻止する展望を、2回シリーズで考えてみたいと思います。
憲法9条は尊い犠牲の上に生まれた日本の宝
先の日本の侵略戦争で、アジアで2000万人、日本で310万人の尊い命が奪われました。二度と戦争はしてはならないという反省から、憲法9条が生まれました。
憲法第9条
① 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決 する手段としては、永久にこれを放棄する。
② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しな い。国の交戦権は、これを認めない。
憲法9条は、1項で「戦争放棄」を掲げ、2項で「戦力は保持しない・交戦権は認めない」と決めています。この平和憲法があったからこそ戦後70年以上、自衛隊は一人の外国人も殺さず、一人の戦死者も出してこなかったのです。
9条改憲の狙いは、海外での無制限の武力行使
安倍首相は、「9条に自衛隊を明記するだけ…自衛隊の権限・任務は変わらない」といっています。しかし、ひとたび憲法に自衛隊を明記すれば、戦力保持を禁止した9条2項が空文化され、自衛隊の海外での武力行使が無制限となり、海外でのアメリカの戦争に自衛隊員が駆り出されることになります。
また、首相は「自衛隊員が誇りをもって任務に全うできるようにする」ためだといいます。しかし、海外の戦地で「殺し、殺される」戦闘にのぞむことに「誇りをもて」というのは、多くの自衛隊員のみなさんの初心にも反することではないでしょうか。
職場には「憲法なんて関心ない」という声があります。しかし、安倍首相が9条改憲の新たな口実に「6割以上の自治体が自衛官募集への協力を拒否している」ことを持ち出しています。新規自衛官の適齢者名簿を自治体から強制的に提出させることは、若者を戦場に強制動員することにつながり、無関心でいれば、いずれ「徴兵制」にいきつく危険性があります。
また「憲法変えても戦争はしないだろう」という声もあります。しかし、安倍政権は、「いずも」型護衛艦を空母化し、1機116億円もする攻撃型ステルス戦闘機F35を147機も「爆買い」し、「専守防衛」という自衛隊の建前すら投げ捨て、「海外で戦争する軍隊」へと、大軍拡への道を着々とすすめています。
「北朝鮮や中国の脅威があるから」という声もありますが、もし戦争になれば日本でも大変な犠牲者が出ることは間違いありません。
どんな紛争も、軍事対軍事ではなく、憲法9条を生かして話し合いで解決するしかありません。
安倍首相の最大の野望は、憲法9条を改定し、日本を「戦争する国」へ変えることです。
歴史に逆行する暴走は、絶対に許してはなりません。