トヨタ自動車が15年3月期に2兆円を超える過去最高最終利益を見込んだことで従業員や取引先への利益還元を求める声が強まっています。
「もうけすぎ」との批判も一部で出るなかで、国内最大の製造業としてアベノミクスの景気回復への貢献度が問われます。
「15年度上期は取引先企業に対する部品購入価格の値下げ要求を見送る」というのは、トヨタは毎年2回、部品を納入する下請企業にコストダウンを要求するからです。
下請け企業は円安の恩恵はまったく受けません。逆に円安により原料価格、そして電気料金が大幅に上昇しています、その分のコストアップも含めてやり繰りしています。ある部品メーカーは「円安はむしろマイナス面のほうが強い。ベアなんて考えられない」と苦しい実情を語っています。
海外生産はわずか5年で国内の1・5倍となっています。
「円安→輸出増→従業員の給与アップ」が実現しないのは、過去20年近くにわたり国内での産業育成をないがしろにし、「企業の海外生産を後押しする」政策を続けてきた結果が現在の国内不況につながっているからです。
役員は決算会見で「デフレ脱却と『経済の好循環』が日本経済にとって極めて重要だ」と取引先の活力向上に利益を還元する考えを示しました。トヨタにとって円安効果は大きく、1ドル当たり1円円安に動けば営業利益が年400億円上昇します。
トヨタは15年春闘でベースアップに相当する賃金改善を実施すると報道されています。
労働組合は昨年の2倍超となる月額6000円のベアを要求する方針を固めています。
職場新聞の記事より
トヨタ空前の黒字でも 下請けは苦しい
2015年2月28日