「アマゾンされる」という、ネット通販大手アマゾンの企業名を動詞にした造語が米国のビジネス界で使われています。
新規参入した他社に自社の顧客と利益を根こそぎ奪われていくという意味です。
アマゾンの売上高の爆発的な伸びは小売業界全体を恐怖と混乱の渦に巻き込んでいます。
株式を公開した1997年度の売上高は163億円、10年後の2007年度には100倍の1兆6280億円、20年後の2017年度は19兆5690億円に膨れ上がりました。
アマゾンはネット通販として開業し、当初は書籍だけでしたがその後、雑貨、家電、アパレル、玩具、生鮮食品など何でも売る店に急成長。あおりを受けて既存の小売業が減収や赤字にあえぐようになりました。世界最大の玩具小売企業トイザラスが破綻した要因の一つもアマゾンの安売り攻勢だといわれています。
ベビー用品のネット通販で業績を伸ばした新興企業クイッドシーをアマゾンが買収した時は会社の売却を拒んだクイッドシーにアマゾンは価格競争を仕掛け、ベビー用品価格を最大30%下げ、成長が鈍化したクイッドシーはアマゾンへの売却に追い込まれました。
利益を度外視するアマゾンの低価格の背後には市場支配を目的にした強引な値下げ戦略があるのです。
このような廉売のしわ寄せがあらゆる方面におよんでいます。その一例が、この連載でも記事にした物流センターの労働条件です。 不要な費用だとして、社員教育は行わず使い捨て、また、エアコンは設置せず、気温が38度以上になった時だけ扇風機を置いたため、熱中症で病院に搬送される労働者が続出したのです。(つづく)
職場新聞の記事より
君臨するアマゾン その3 爆発的に業績伸ばす恐怖の手口
2018年10月26日