JFEスチール京浜・権利闘争すすめる会は6月25日、JFEスチールが進めようとしている、東日本製鉄所京浜地区の高炉をはじめとした設備の休止に反対し、雇用と地域経済を守れと京浜地区の扇島正門前で宣伝行動を行いました。
JFEスチールが東日本製鉄所京浜地区の、高炉をはじめとした製銑・製鋼・熱延にわたる設備を2023年度末までに休止すると発表してから3カ月が経ちました。
会社は「京浜地区の休止する設備に係る従業員(約1200名)は、配置転換などにより雇用を確保してまいります。また、設備休止による影響が想定されるグループ会社・協力会社(約2000名)につきましても、誠意をもって対応してまいります」としていますが、従業員、グループ・関連企業、その他地区内で働く労働者も含めると約4000人の職場が無くなると考えられ、その家族を含めると1万人及ぶ人たちに影響が及びます。
京浜地区の従業員の大多数は当地での勤務と生活を前提として入社してお
り、自分の働く職場がなくなり、遠隔地への配転となれば人生設計そのものが大きく変わってしまいます。また、様々な事情で遠隔地への配転には応じられず、退職せざるを得ないとする労働者も多数存在します。
JFEスチールは、協力会社については「最大限の誠意をもって対応する」としていますが、雇用を守るとは言っておらず、全く無責任です。これまでJFEを支えてきた協力会社・関連会社で働く労働者の雇用を守ることはJFEスチールの当然の責任です。
また、京浜地区の中で仕事をしたり、取引のある業者さんもたくさんあり、川崎市、横浜市などの地域経済にも大きな影響がでます。
JFEスチールの持ち株会社であるJFEHDは、企業行動指針に「よき企業市民として、社会との連携と協調を図り積極的な社会貢献に努める」と掲げています。
大企業としての社会的責任を果たそうとするなら、このような多大な犠牲を強いる京浜地区の高炉をはじめとした休止計画は中止・再考すべきです。
JFEスチールは今回の施策の理由を、米中貿易摩擦、中国をはじめとした鉄鋼生産能力過剰、日本の人口減、製鉄所設備の老朽化を挙げていますが、いずれも以前から予想されおり、そういう中でも生産拡大と海外依存を高める施策を進めてきた経営者の責任は重大です。
会社自身も従業員のみなさんに責任はないと言っています。しかし、会社は、京浜地区の従業員、関連会社で働く人たち、地域住民に犠牲を押し付けることで打開を図ろうとしており、とても認められるものではありません。
経営の失敗で鉄鋼の生産量削減が必要としても、犠牲を一方的に従業員や地域住民に押しつけるのではなく、極力犠牲を少なくする方向での打開が必要です。
そのためには、京浜地区の高炉休止という製鉄所の致命的な打撃を避け、同じJFEスチールでも高炉が複数基ある地区で休止をする。
または、全社8基ある高炉でそれぞれ1日、1400トンづつ減産するなど、各事業所で減産を分担(シェアリング)し、京浜地区の高炉等は休止しない。
などの施策をとるべきです。
コロナウイルス感染の拡大などで経済の過度なグローバル化、一極集中化の見直しが迫られています。
また、CO2排出削減をはじめとした地球環境を守る課題が待ったなしの状況にあります。鉄鋼業は特に改革が迫られている産業です。
京浜地区はCO2削減とリサイクルを目指すシャフト炉を持ち、廃棄物の処理やリサイクル、地域と一体になった環境にやさしい都市型製鉄所を目指すとしてきました。今こそ京浜の高炉を存続し、この方向を推進すべきです。
宣伝には仕事帰りの皆さんが耳を傾け、立ち止まって職場の状況を話したり、「何とかしてくれ」「頑張れ」という声がかけられていました。