労働者の実質賃金が低下し、日本経済が低迷するもとで、2015年春闘での大幅賃上げへの期待は、高まっています。マスメディアも「賃上げは社会的責務だ」(「産経」新聞)と主張し、財界からも「ベースアップ容認」の発言が出る状況です。
実質賃金は17ヵ月連続マイナス 、JFEの1000円の賃上げでは実質大幅賃下げに
安倍首相は、昨春闘で賃金が2%上がったといいますが、表のように実質賃金は3%も低下しています。
昨年11月の毎月勤労統計調査によると実質賃金は、17ヵ月連続マイナスです。
JFEのたった1000円の賃上げでは、消費税や物価上昇で、実質大幅賃下げになってしまいます。
ですから職場では、
「マイホームもままならない」
「車通勤をバイクに変えた」
などの声が聞かれ、生活実態はいっそう苦しくなるばかりです。
最低限の要求は6%(1万8843円)=労働総研
連合の新年交歓会に、榊原定征経団連会長が出席し、企業収益を賃上げにつなげていくために「最大限の努力をしてまいりたい」と表明しました。
経団連会長が労働組合の会合に出席するのは初めて、しかも賃上げを表明するというのは、春闘60年の歴史を画す変化です。
こういう変化はありますが、経労委報告(経団連の春闘方針)では、簡単に賃上げをするなどとは言っておらず、労働組合がたたかわなければ賃上げなどあり得ません。
労働総研(全労連と共同し、研究・政策活動をしている研究所)は、消費税増税や円安による物価上昇などの負担増をカバーする最低限の要求を6%(1万8843円)と試算し、全労連は、2万円以上の要求を掲げています。
連合も、2%以上のベア(定昇を加え4%以上)と、昨年を上回る要求を掲げています。
「こんなに実質賃金が低下しているときには、賃上げの追加要求をすべきだ」=職場の声
昨年9月の京浜労組定期大会では「我々組合員の願いは景気の浮き沈みがあっても影響をうけない基本賃金であり、賃金改善への取り組みは、職場組合員の総意である」との発言がありました。
08年9月のJFEスチール労連定期大会では、「ガソリンや食料品などの値上がりから生活を防衛するために、要求年ではないが賃上げ要求を検討してほしい」との発言があり、基幹労連の大会にも反映されています。
今年は「特段の環境変化がない限り要求しない」年ですが、「こんなに実質賃金が低下しているときには、隔年春闘にこだわることなく、追加要求をすべきだ」というのが職場の声です。