日経平均株価が、15年ぶりに2万円を超えました。これは、今の日本経済を正しく反映しているのでしょうか。
1990年代に政府が実施した、株価維持対策は、バブル崩壊後に郵便貯金や年金資金を使って株価を買い支えようとしましたが、市場原理をゆがめた結果、企業の競争力が失われて不良債権問題が起き、日本経済は困難をきたしました。
今回は、年金積立金運用独立行政法人などの「年金基金」が、国内株式の運用の割合を増やす方針を明らかにしていることや、金融緩和の一環として、「日銀」が株式を組み込んだETFと呼ばれる投資信託を買い入れていることも投資家に安心感を与え、株価の上昇基調を下支えしているとみられています。
年金組織に株を買わせて株価を上げる。まさに市場の原理が働いていない『官製相場』です。
しかし、「過ち」が繰り返されかねない状況を安倍政権は意に介していません。
企業の業績は拡大期待
株価の上昇には日本固有の要因もあります。
外国為替市場では、円安ドル高により、輸出企業を中心に日本企業の業績拡大への期待感が高まっています。
野村証券や大和証券は、今年度=平成27年度の主要企業の経常利益の見通しを前年度よりおよそ15%の増と見込んでいます。
ことしの春闘では、大企業を中心に賃金引き上げの動きが相次ぎ、今後、消費が回復に向かうのではないかという期待も広がっています。
株主は儲かっているかもしれませんが、労働者には安倍首相の言う「富が滴り落ちる」=トリクルダウンは届いていないのが実感です。
JFEは隔年春闘で賃上げ要求すらしませんでしたが、消費税を反映した物価高、油・乳製品や円安による石油価格の高騰などが生活を直撃しています。
内部留保はたっぷりあります。ほんの一部を取り崩すことで賃上げも可能です。一時金も「世間相場以上を」は職場の声です。
来春闘は大幅賃上げを勝ち取らなくては生活はますます困窮をきたします。
職場新聞の記事より
株価「2万円」の正体
2015年4月29日