「戦争法案」に関する世論調査では、「反対」が過半数を超えていますが、3割前後の人たちが「賛成」だと答えています。職場でも「必要なのでは」という声がありますが、そのほとんどが「北朝鮮や中国問題があるから備えが必要」というものです。
本当にそうなのでしょうか。
北朝鮮・中国は本当に「脅威」なのか
安倍首相は、集団的自衛権行使容認の根拠として「安全保障環境が根本的変容した」ことをあげて、北朝鮮や中国を名指しして「脅威」をあおっています。
では、北朝鮮はどうなのでしょう。
北朝鮮は無法な国ですが、アメリカとの軍事力の差は歴然としており、もし北朝鮮がアメリカを攻撃したら、一瞬のうちに消滅させられます。北朝鮮が自殺行為に等しい武力攻撃を引き起こすことに、現実性はありません。
中国はどうでしょう。
尖閣諸島や「南シナ海」などの問題がありますが、現在の日中・米中関係は、貿易でも経済でも、人的交流の面でも強い相互関係にあります。こういう関係にある国と国が、正面から戦争を構える現実性はありません。
実際、デニス・ブレア米太平洋軍元司令官は四月、「台湾や尖閣での軍事作戦の実施は、極めて大きなリスクを負うことを中国は知っている」と述べています。
「戦争法案」を強行するために、いたずらに「脅威」をあおることは許せません。
紛争の軍事的解決などあってはならない
北朝鮮問題の解決は、「6カ国協議」の場を通じて解決をはかるしかありません。
「尖閣諸島」問題では、中国が日本領海内に公船を入れていますが、軍艦まで出して日本の領海を侵犯しているというものではありません。その時に、日本が海上自衛隊を出せば、中国は海軍を出しかねません。双方が軍事的行動をエスカレートさせ、戦争にすることは絶対に避けなければなりません。
どんな紛争も、外交交渉で解決するしかありません。
戦争は、多大な犠牲、とりわけ多くの尊い命が奪われます。
核兵器が存在するもとでの全面戦争になれば、人類の破滅につながります。
「戦争法案」こそ日本を危険におとしいれる
アメリカは、今もアフガニスタンやイラクで戦争しています。
「戦争法案」が強行されれば、自衛隊が戦闘地域にまで行き、アメリカが起こす戦争の補完部隊として、憲法9条に違反し、「殺し殺される」戦争をすることになります。
アメリカにいわれるままに戦争に加担すれば、日本が先制攻撃したとみなされ、相手に日本を攻撃する合法的な理由を与えてしまいます。
ここにこそ、日本が戦争に巻き込まれる最も大きな危険があります。
日本共産党は、北東アジアに存在する紛争と緊張を、平和的・外交的に解決する手段として「北東アジア平和協力構想」を提唱しています。
① 域内の平和の ルールを定めた 北東アジア規模 の「友好協力条 約」を締結する
② 北朝鮮問題を「6カ国協議」で解決し、 これを平和と安全の枠組みに発展させる
③ 領土問題の外交的解決をめざし、紛争を エスカレートさせない行動規範を結ぶ
④ 日本が過去におこなった侵略戦争と植民 地支配の反省は、不可欠の土台となる
列島を揺るがす国民のたたかいで「戦争法案」を阻止しましょう。