「世界でいちばん企業が活躍しやすい国」をかかげる安倍首相は、大切に守るべき「雇用のルール」を「岩盤規制」呼ばわりして破壊しようと暴走しています
正社員への道を閉ざし「生涯ハケン」を押しつけ
労働法制全体を改悪していく突破口として、派遣業界の要望を丸のみした「労働者派遣法」の大改悪案が今国会で審議されています。
派遣は「常用雇用の代替にしてはならない」、「臨時的・一時的な業務に限定する」というのが原則です。現行法では、企業が同じ業務で派遣を使えるのは原則1年間、最長でも3年間に制限されています。
ところが改悪案では、企業は、派遣労働者を3年で入れ換えるか、部署を少し変えるかすれば派遣労働者を使い続けられるようになります。
派遣労働者は、「3年経過すれば、派遣先企業の直接雇用にする」という、今、わずかにある「正社員への道」も閉ざされ、「生涯ハケン」のまま働かされることになります。
JFEや関連企業の正社員にも大打撃
今回の派遣法大改悪は、派遣労働者の問題にとどまりません。
「常用雇用の代替にしてはならない」という大原則がなくなれば、正社員・直接雇用から、派遣への置き換えが大規模にすすみます。正社員が解雇されたり、派遣への「変更」がすすめられ、直接雇用の契約社員やパート労働者も、契約更新時に派遣への転換を迫られます。
さらに派遣労働の拡大は、正社員の賃下げと長時間労働など、労働条件悪化をもたらします。
日本の労働者の賃金は、1997年をピークに年収で70万円も減っています。労働者派遣法などの改悪が大きな原因です。
JFEで働く人にとっても、派遣法の改悪は人ごとではありません。今でも管理職は異常な長時間労働が押しつけられ、現場でも深夜給、交替手当、「残業頼み」という厳しさです。
安倍政権は、「限定正社員(=名ばかり正社員)」「残業代ゼロ」なども検討していますが、派遣法改悪案は、こうした労働法制の全面改悪の突破口なのです。
働く人間を大切にする労働法制に
働く人間を「使い捨て」にする社会は、若者から希望を奪い、貧困と格差を広げます。結婚もできない劣悪な労働条件の広がりに、多くの国民が心を痛めています。この道では、日本の企業も経済も強くなりません。
日本共産党は、人間らしく働けるルールを確立することを提案しています。
○ 労働者派遣法を派遣労働者保護法に抜本改 正し、派遣労働者の受け入れを臨時的・一時 的業務に厳しく限定し、派遣から正社員への 道を開くなど、派遣労働者の生活と権利を守 り、正社員化をすすめる
不当な差別や格差をなくす均等待遇をはか る。登録型派遣、製造業派遣を禁止する
○ ブラック企業規制法を制定する
○ 「サービス残業」根絶法や、無法なリスト ラ・解雇をやめさせる解雇規制法など、安心 して働き続けられるルールを確立する
労働界の垣根をこえ、共同広がる
5月8日、横浜弁護士会主催で開かれた「労働法制の規制緩和に強く反対する集会」には、神奈川県内の連合神奈川や神奈川労連、県労働組合共闘会議の三者が、労働界の垣根をこえて集まり、労働法制の規制緩和を許さない一点での共同を確認する場となりました。
労働者と国民の連帯した力で労働者派遣法など労働法制改悪をストップさせましょう。
2014年5月26日「京浜の高炉」