新入社員、高橋まつりさん(当時24歳)の過労自殺に端を発し、労働基準法違反の罪に問われた大手広告代理店・電通の判決が10月6日、東京簡易裁判所でありました。
判決は、「尊い命が奪われる結果まで生じていることは看過できない」と同社の違法残業を認め、罰金50万円を命じました。
裁判で電通の山本敏博社長は謝罪しました。
高橋まつりさんの母、幸美さんは「間違った認識で会社経営が行われることがないよう、これからも引き続き国をあげて監視を強化してもらいたい」と涙ながらに訴えました。
幸美さんは、NHK女性記者の過労死にも触れ、「企業の決意表明が空虚に思えるほど、何度も不当な労務管理で過労死が繰り返されている」と批判。
国に対して過労死を根絶するための法改正を求めました。
NHK女性記者過労死で両親が記者会見
NHKの記者だった佐戸未和さん(当時31歳)が4年前に過労死していた問題で、佐戸さんの両親が10月13日東京都内で記者会見を開き、過労死した状況や愛する娘の死を再発防止に役立ててほしいと強く訴えました。
佐戸さんは05年にNHKに入局。鹿児島放送局での勤務を経て、10年に東京・渋谷の首都圏放送センターに異動しました。
渋谷労働基準監督署は、死亡1カ月前の時間外労働(残業)を159時間と認定しました。
父親は携帯電話や業務用のパソコンを調べたところ、残業は209時間にのぼったと指摘しました。
軽すぎる罰金刑
労働者が、残業時間をそのまま申告できるとは限らず、それが、人事評価に影響すると言われれば、泣くなく過少申告もあったのでしょう。
企業は社員を過労死させても、50万円の罰金で済む。それではやり得ではないでしょうか。
国は、もっと懲罰的な罰金刑を含む法改正を検討するべきです。