1月13日、熱延制御室の39歳のリーダーが亡くなるという、なんとも痛ましい災害が発生しました。被災者のご冥福を祈り、ご家族への心からのお悔やみを申し上げます。
災害報告では、「踊り場(17・2mの高所)が傾いて墜落」と報告されています。職場では、踊り場の「腐食がひどかった」とか「点つけ溶接だった」などといわれていますが、床が傾くような設備を放置した会社の責任は重大です。
人命軽視の会社の姿勢に怒りをこめて抗議するものです。
腐食が原因と考えられるこの災害は、「KYをしなかった」とか、「安全のルールを守らなかった」などということとはまったく次元のちがう災害です。
高所の点検見回り作業の時に「いつ踏み抜くのか」と、ビクビクしながら仕事などできる訳がありません。
災害直後に所長が「屋外にあるクレーンは部長以上が許可を出して運転すること。屋内クレーンも安心せず、足元床面に注意すること」という指示を出しました。
この指示は、労働者の生命を真剣に考えているのかと耳を疑うもので、まったく非現実的で無責任な、思いつきの内容です。
職場からは
「会社は設備の総点検をやっているらしいが、対応が遅すぎるよ」
「組合の『あんえいニュース』には、『立ち入らない・近づかない』としか書いていないが、もっと具体的に会社に要求するべきだ」 などの声がでています。
死亡災害が発生して一カ月も経つのに、会社は「踊り場が傾いた」原因と具体的な対策を未だに明らかにしていません。
扇島稼動40年 設備の腐食はますます深刻
2014年1月度京浜地区中安で、当時の五十嵐京浜労組委員長は「地区内各所での腐食が加速化してきていることもあり補修が追いつかない実態である」と指摘しています。
扇島第一高炉火入れ(1976年4月)から40年が経過し、設備の腐食はますます深刻です。
会社は「人手が足りない」とか「予算がない」とかの言いのがれをせず、職場から指摘されている腐食などの危険個所は、責任をもって直ちに補修すべきです。
会社の責任ある安全対策が決定的
死亡災害の後、連続して5件もの災害が発生しています。被災者の多くは青年です。
会社は、危険箇所の補修と合わせて、次のような具体的な安全対策を行うべきです。
① ゆとりある要員配置、作業基準書を守って作業できるようにする
② 故障やトラブル発生時には、設備を停止して対処するようにする
③ 労働者がミスをしたり、うっかり手を出しても、設備が自動的に停止するなど、 絶対にケガをしないよう本質安全化を図る
④ 事故調査制度の再構築をおこない、事故原因と背景をより正確に追究し、労働者 の行動や安全意識の問題に矮小化しない
⑤ 危険が多い関連企業の安全確保に向けて支援を強化する
災害のない安全な職場をつくることは、労働者の生命と健康を守ることはもちろん、安定的な操業にとっても不可欠であり、企業の利益にもつながります。
「安全は全てに優先する」を全ての職場・作業につらぬき、会社が責任をもち、労働組合と職場が力を合わせて「災害ゼロ」の職場をつくりましょう。