門前ビラ

無くならない死亡災害、「操業するだけで精いっぱい」

無くならない死亡災害、「操業するだけで精いっぱい」

2016年8月26日

 今年2月17日までに6件の死亡災害を引き起こしているJFEスチールなど鉄鋼会社に対し、経産省・厚労省は、指導・勧告を強めてきました。
その後もJFE福山、新日鉄住金名古屋・鹿島を含む4件の死亡災害が発生しています。

「鉄鋼業における安全管理活動に係る自主点検」ついて、畑野議員が厚労省に説明を求めるimage

 厚生労働省は3月に、鉄鋼各社に「鉄鋼業における安全管理活動に係る自主点検」を要請し、7月15日その分析結果を公表しました。
 畑野君枝日本共産党衆議院議員は7月27日、その分析結果の説明を同省に求めました。
 分析によると、災害発生率の高い事業所は、
 「安全担当者に作業停止などの権限を与え ていない」
 「災害の背景や要因を分析していない」
 「作業マニュアルの見直しを行っていない」
割合が高いという結果が出ています。
 この説明にはJFE京浜で働いていた労働者や千葉からも参加し、「ミスをしてもケガにつながらない設備が必要」「トラブル時など忙しいときは、操業優先になってしまう」「作業マニュアルを守るために、ゆとりある要員配置を」「協力会社の事故が多い。強い対策を」などの職場の実状を反映した意見・要望が出されました。

「安全対策の実施報告書」の提出期日迫る

 畑野議員は、去る2月25日衆議院予算委員会で、「死亡災害を根絶し、鉄鋼労働者の生活と命を守れ」と林幹男経産大臣(当時)に迫り、林大臣からは「速やかに対策を講じ…半年以内に実施報告書を提出するよう指示した」との前向きの答弁を引き出しました。
 しかし、死亡災害は無くなりません。
 鉄鋼各社からだされた「実施報告書」を確認し、さらにいっそう安全対策に生かしていく必要があります。

「操業するだけimageで精いっぱい」が職場の本音

 JFEスチール労連の「2016年安全衛生フォーラム」(6月3日開催)では、次のような声が出されています。
 ○操業するだけで精一杯…、人材育成や操 業トラブルへの対応など、安全活動に割く 時間の確保に苦慮している
 ○老朽化更新は…最優先の課題
 ○人員の確保と予算取得の緩和が必要
 こうした職場の声に耳を傾けた安全対策が求められます。 
 腐食などの危険箇所の速やかな補修と、人材育成やトラブル対応ができるゆとりある要員配置は、とりわけ緊急の課題です。

職場の声にこたえて、次のような安全対策が求められているのではないでしょうか

① ゆとりある要員配置、作業基準書を守って作業できるようにする
② 故障やトラブル発生時には、設備を停止して対処するようにする
③ 労働者がミスをしたり、うっかり手を出しても、設備が自動的に停止するなど、 絶対にケガをしないよう本質安全化を図る
④ 事故調査制度の再構築をおこない、事故原因と背景をより正確に追究し、労働者 の行動や安全意識の問題に矮小化しない
⑤ 危険が多い関連企業の安全確保に向けて支援を強化する

 

2016.8.26労災畑野ビラ